2014年に個人でアプリ開発を始めてから、壁紙や癒し系のアプリを中心に運営を続けてきました。累計のダウンロード数は5,000万を超え、AdMobの月収がピーク時に150万円を超えた時期もありました。そんな経験を持つ私が、Rorkで同ジャンルのアプリを試作してみたら、思いのほか驚かされる部分と、やはりそう簡単にはいかない部分が同時に見えてきました。
この記事は、Rorkのチュートリアルではなく、12年間個人開発を続けてきた感覚から見た、素直な評価の記録です。
試作のきっかけ:壁紙アプリはシンプルに見えて、実は難しい
壁紙アプリは、一見するとシンプルなジャンルです。画像を表示して、タップで保存できれば成立します。ところが実際に運営していると、ユーザーが長く使い続けるためには細部の積み重ねが重要で、スクロールの滑らかさ、画像の読み込み速度、カテゴリのフィルタリング精度、AdMobの広告表示タイミングなど、地味な調整が収益を大きく左右することを痛感してきました。
Rorkが「アプリをプロンプトで生成できる」というツールとして注目を集めていると知ったとき、正直なところ「壁紙アプリ程度なら試してみる価値はある」と思いました。複雑な機能は不要で、画像グリッドと保存機能があれば骨格はできるからです。
実際に試作したアプリの概要
試したのは以下の構成です。
- カテゴリ分類付きの壁紙グリッド表示
- タップで拡大表示、長押しで保存
- お気に入りリスト機能
- 下部にバナー広告(AdMob想定の位置確保)
Rorkへのプロンプトはこのように渡しました。
壁紙アプリを作ってください。
- 上部にカテゴリタブ(自然、都市、抽象)
- 各カテゴリにサムネイルのグリッド表示(3列)
- タップで全画面表示、共有ボタン付き
- 下部に固定バナー広告エリア
- ダークモード対応
生成されたコードは、React Native ベースの構成で、UIの骨格は想定通りに出てきました。
驚いた点:UI骨格の生成速度と精度
正直、ここまで素早くグリッドレイアウトが出てくるとは思っていませんでした。3列グリッド、カテゴリタブの切り替え、全画面モーダルの遷移アニメーション、これらが最初のプロンプト一発でほぼ動く状態で生成されました。
12年前に壁紙アプリを最初に作ったとき、グリッドのレイアウト調整だけで丸一日かけていたことを思い出すと、隔世の感があります。
UI生成の精度という観点では、「こういう画面を作りたい」というイメージを言語化できるなら、Rorkは相当な時間短縮になります。ダークモード対応のスタイル切り替えや、モーダルのアニメーション設定なども、追加プロンプトで数ステップで実現できました。
現実的な壁:AdMob組み込みの手間
期待に反して手こずったのが、AdMob(Google Mobile Ads)の組み込みです。
バナー広告の「位置確保」はUIとして生成できても、実際に広告を表示するにはreact-native-google-mobile-adsパッケージの設定、AndroidManifest.xmlとInfo.plistへのApp ID追記、ATT(App Tracking Transparency)同意フローの実装が必要です。
Rorkがこれらのネイティブ設定を完全に自動化することは現時点では難しく、Rork Max(SwiftUI/ネイティブ生成)でなければ深部の設定変更は限界があります。壁紙アプリの収益の主軸がAdMobなら、ここの手間は無視できないという印象を持ちました。
実際、AdMobの設定でつまずいたときは、以下の手順で手動対応しました。
# expo-ads-admob ではなく公式の react-native-google-mobile-ads を使う
npx expo install react-native-google-mobile-ads
# app.json に以下を追記
# "react-native-google-mobile-ads": {
# "android_app_id": "ca-app-pub-XXXXXXXXXXXXXXXX~XXXXXXXXXX",
# "ios_app_id": "ca-app-pub-XXXXXXXXXXXXXXXX~XXXXXXXXXX"
# }これを Rork の生成コードに後付けで組み込む作業は、Rork の UI 生成のスピード感とは別軸の工数になります。
AdMob を使った収益化の詳細については、AdMob月収150万円を達成したアプリ収益化の方法 でまとめています。
画像品質とパフォーマンスの問題
壁紙アプリはユーザーが「見て美しい」と感じなければ成立しません。
Rorkが生成するImageコンポーネントのデフォルト設定は、大きな画像を多数並べるグリッドには最適化されていないことがあります。スクロール中のフレームドロップや、遅延読み込みのチラツキは、プロンプトを追加して修正しても完全には消えませんでした。
私の過去の経験では、壁紙アプリのリテンション(継続率)はスクロールの滑らかさに直結します。「美しい壁紙があるのに使いにくい」という評価は、ストアの評価に直接影響します。Rorkの生成物に対して、このパフォーマンス調整を自分で手を入れられる技術力があるかどうかが、実用品質に達するかの分岐点です。
12年の感覚から見た総合評価
両家の祖父がともに宮大工で、「丁寧に組み上げたものは何十年も持つ」という感覚を幼少の頃から見てきました。コードに対しても、細部の積み重ねが長期的な運営を支えるという信念があります。
その観点からRorkを評価すると、「アイデアを素早く形にする」フェーズでの力強さは本物です。しかし、収益を継続的に生み出すアプリとして磨き上げていくフェーズでは、Rorkが生成した骨格を土台にして、自分で手を加える前提で使うのが現実的です。
Rorkが特に力を発揮すると感じた場面をまとめます。
- プロトタイプ段階: ユーザーテストや投資家への見せ物レベルのUIを短時間で作る
- カテゴリ機能の骨格: タブ切り替え、グリッド、モーダルなどのパターン実装
- デザイン方向性の確認: 複数のデザイン案を素早く並べて比較する
一方、現時点で難しいと感じた部分もまとめます。
- AdMob/IAP などネイティブ設定が深く関わる機能: Rork Maxでなければ完結しにくい
- スクロールパフォーマンスの精密調整: 大量画像を扱うグリッドアプリ特有の最適化
- 長期運営を見越した設計: メンテナンス性の高いコード構造への誘導は弱い
個人開発の収益化モデルとRorkの相性については、Rorkアプリのマネタイズ現実的比較:個人開発者の視点 も参考になります。
どんな人に向いているか
12年の経験から言えば、Rorkは「ゼロからコードを書くのは難しいが、動くものを見ながら改善していける人」に向いています。
完全にノーコードで収益化まで完結させるには、現時点ではまだギャップがあります。しかし、アイデアを素早く検証してユーザーの反応を見たい段階や、デザイナーがUI案をプロトタイプとして動かしたい場面では、非常に価値があります。
まず Rork のプライシングと個人開発者向けの使い方 を確認しながら、プロトタイプ用途で試してみてください。限界はあっても、素早くUIの骨格を作れる体験は、個人開発の可能性を広げてくれます。