前編のRork製モバイルアプリ収益化チャネル徹底比較では、個人開発のモバイルアプリで使える5つのチャネルを並べました。その中で「向いているアプリには明確に強い」と書いたのが広告収益、特にAdMobです。
ここでは私が個人開発でAdMob月150万円超えを達成するまでに実際に踏んだ8つのステップを、ごまかしなく書き残します。途中で踏んだ失敗(広告出しすぎでレビューが★1.8まで落ちた事件)も、それをどう立て直したかも省かずに書きます。Rorkで作るカジュアルアプリで「現実的にどこまで行けるか」を見極める材料にしてください。
取り組みの背景 — この道のりは特別なものではありません
最初に断っておきたいのですが、月150万円という数字は、私が特別なマーケティングスキルを持っていたから到達したわけではありません。私は2014年からアプリを作り始めて、最初の3年間はずっと月数千円〜数万円の収益でした。途中で何度も「やめようか」と思ったこともあります。
それでも続けた結果、ある時期に複数アプリの合計でAdMob月150万円を超えるラインに到達しました。重要なのは、これは1本のスマッシュヒットではなく、複数の壁紙系・癒し系アプリを地道に積み上げた結果だということです。1本の単発ホームランではなく、安定した中規模アプリの群れを持つほうが、個人開発では再現性が高いです。
以下に書く8ステップは、その積み上げ期間に振り返って整理した手順です。今でも新規アプリを作るときには、この流れで進めています。
ステップ1: 「無料で使える」が成立するジャンルを選ぶ
これが最も重要です。AdMobで月150万円を狙うなら、「無料で使えること」がジャンルとして自然なアプリを選んでください。
私が成功したアプリのジャンルは次のようなものでした。
- 壁紙アプリ(おしゃれな壁紙・季節壁紙・特定キャラクター系)
- 引き寄せメッセージ・名言アプリ
- 占いアプリ(簡易タロット・誕生日占い)
- 計算機・ユーティリティアプリ
- ライフログ系(簡易家計簿、ダイエット記録)
これらに共通するのは、「課金してまで使うものではないが、毎日数分は触る」という性質です。MAUが大きくなれば広告が回る、という単純な構造が成立します。
逆に避けたいのは、ヘビーゲーム・SNS・チャット系です。これらは広告でユーザー体験を損なうと離脱が増え、長期的にDAUが減っていきます。SNS系で広告中心にするのは、よほどの規模がないと成立しません。
ステップ2: 1本目はストア審査を通すことを最優先にする
私が個人開発を始めた当初、最初のアプリで完璧を目指して半年以上開発して、結局リリースできませんでした。これは典型的な失敗パターンです。
1本目に必要なのは、完成度ではなく「ストア審査を通して、計測可能な状態にする」ことです。MAU 100人でも、AdMobの管理画面に数字が出始めるだけで世界が変わります。eCPMの実測値・滞在時間・離脱ポイントが見えるようになり、改善の方向が初めて具体化します。
Rorkを使うなら、最初の1本目は1〜2週間で出すつもりで設計してください。完璧を目指さず、コア機能だけのMVPで構いません。
ステップ3: AdMobの基本実装はリワード広告から始める
ここが多くの個人開発者が逆に進めてしまう箇所です。「とりあえずバナーを下に貼っておく」という発想は、2026年ではほぼ無意味です。
私の経験則では、AdMob収益の8割はリワード動画広告から来ます。バナーの収益貢献は1割未満、インタースティシャルが1〜2割という配分が、私が長年運営したアプリの平均値です。
リワード広告を使うには、「ユーザーが自発的に動画を見る理由」を画面設計に組み込む必要があります。例を挙げます。
- 壁紙アプリ → 「動画を見ると、この有料壁紙を1回ダウンロードできます」
- 占いアプリ → 「動画を見ると、追加で1日先の運勢が見られます」
- ライフログ → 「動画を見ると、過去30日の統計レポートを生成できます」
ユーザーが「広告を見たくない」のではなく「広告を見るとお得」と感じる設計です。これが成立すると、リワード広告の視聴率は20〜40%まで上がり、eCPMは1リクエストあたり10〜30円のレンジで安定します。
ステップ4: 広告頻度の上限を必ず設ける(最重要)
私が一度大きく失敗した話をします。
ある壁紙アプリで、収益を最大化しようとしてインタースティシャル広告を「画面遷移ごとに表示」する実装にしました。最初の1ヶ月は確かに収益が跳ね上がりましたが、2ヶ月目に入るとレビューが★1.8まで落ち、ストア検索順位が急落して、結果として3ヶ月後にはMAUが半分になりました。
そこから学んだ教訓は、広告頻度には必ず上限を設けるということです。具体的には次のようなルールにしています。
- インタースティシャル広告: 1セッションあたり最大2回、かつ前回表示から最低60秒空ける
- リワード広告: ユーザーがボタンを押した時のみ表示(自動表示は絶対にしない)
- バナー: 常時表示は1画面のみ、メイン操作画面には置かない
- 起動直後の3画面遷移までは広告を出さない
これらのルールを守ると、目先のeCPMは少し落ちますが、長期的なMAUとレビュー評価が安定します。月150万円を達成したのは、このルールを徹底した後の構成でした。
私の失敗からの立て直し過程はこんな順序でした。まずレビュー★1.8を見て、すぐにインタースティシャル広告の頻度を「画面遷移ごと」から「セッションあたり最大1回」に変更しました。これだけで2週間後にはレビューの新規流入が★3.5以上に戻り始めました。次に、過去の低評価レビューに対して個別に丁寧な返信を書いていく作業を1ヶ月続けました。Google Playの場合、開発者の返信は元のレビューの直下に表示されるので、新規ユーザーが「この開発者は誠実に対応している」と感じる場面を増やせます。最終的にトータルレビューが★4.0以上に戻るまで約4ヶ月かかりましたが、戻った後はMAUが回復し、半年後には事故前を超えるラインまで戻りました。
この経験から学んだのは、AdMobの目先の収益最大化と、長期的なアプリの健全性は、明確に違う指標だということです。月次収益を3割落としても、レビュー★4.0以上を維持できる構成のほうが、6ヶ月後・1年後の累計収益で確実に上回ります。
ステップ4.5: 広告ネットワークの裏側を理解する
AdMobで安定収益を作るには、広告がどう配信されているかの基本を押さえておくことが役に立ちます。
AdMobの仕組みを単純化すると、次のような流れです。あなたのアプリが広告リクエストを送信すると、Google AdMobは複数の広告主候補の中からオークションを行い、最も高い入札額を提示した広告主の広告が配信されます。eCPMはこのオークション結果の平均値です。
つまり、eCPMを上げる現実的な打ち手は次の2つに集約されます。
- 入札参加者を増やす(オープンビディングの活用) — AdMob管理画面から「メディエーション」を開き、Meta Audience Network・Unity Ads・AppLovinなどを追加します。これだけで全体のeCPMが10〜20%上がる例が多いです
- 広告枠の品質を上げる(ターゲティング情報の充実) — アプリがどんな層のユーザーに使われているかが広告主に伝わるほど、入札単価が上がります。具体的には、年齢層・興味カテゴリの設定をAdMob管理画面で適切に行います
私の経験では、メディエーションを設定するだけでeCPMが20円から24円に上がったケースがあります。実装は半日で済むので、最低でもMeta Audience Networkは追加しておくことをおすすめします。
ただし、SDKを増やしすぎるとアプリサイズと起動速度に影響します。3つ以上は組み込まないことを目安にしてください。
ステップ5: ASO(アプリストア最適化)に時間を投資する
広告収益の天井は、結局のところMAUの天井です。MAUを上げる手段として、ストア露出の最適化(ASO)への投資はROIが明確に高いです。
私がアプリ運営でやってきたASOの基本は次の通りです。
- アプリ名に「ジャンルキーワード + 差別化キーワード」を入れる(例: 「美しい壁紙 - 季節の風景写真コレクション」)
- 説明文の最初の3行に検索キーワードを自然に詰め込む
- スクリーンショットの1枚目にアプリのコア体験を見せる(機能リストではなく、利用シーンの絵)
- レビューが★3.8を切らないように、低評価のフィードバックには必ずアプリ内で返信する
- 月1回のアップデートを最低ラインとして継続する
特に重要なのが最後の「月1回アップデート」です。ストアのアルゴリズムは「アクティブに更新されているアプリ」を優遇する傾向があり、3ヶ月以上アップデートが止まると順位が落ち始めます。
Rorkを使えばちょっとした改善のリリースは半日でできるので、月1回のアップデートサイクルは個人でも十分維持できます。私自身、5年以上運営しているアプリでも、いまだに月1回のアップデートを欠かさずに続けています。
ステップ6: 同ジャンルで複数アプリを作って分散させる
これは月150万円達成の最大のレバーになった戦略です。
1本のアプリで月150万円を狙うのは、よほどのヒット作でない限り現実的ではありません。代わりに、同ジャンルで5〜10本のアプリを作り、それぞれが月10〜30万円を稼ぐ構造を目指します。
たとえば壁紙アプリなら次のようなバリエーションが考えられます。
- 自然風景特化の壁紙アプリ
- ミニマルデザインの壁紙アプリ
- 季節(春夏秋冬)テーマの壁紙アプリ
- アニメ・キャラクター系の壁紙アプリ
- ロックスクリーン特化の壁紙アプリ
それぞれが異なる検索キーワードに対して上位に出るので、合計のリーチは1本では到達できないレベルになります。コードベースは共通化できるので、開発工数も2本目以降は劇的に減ります。
私の場合は、壁紙系で6本、引き寄せメッセージ系で3本、計算機系で2本という構成でAdMob月150万円のラインに到達しました。1本のヒットを狙うより、現実的で再現性が高い戦略です。
具体的なコードベース共通化の作り方を補足します。私はXcode・Android Studioそれぞれでベースプロジェクトを1つ作り、そこから派生させる形で各アプリを開発しました。共通化していたのは、AdMob初期化処理・購入フロー・プッシュ通知処理・アプリ内レビュー要請ロジック・エラーログ送信などのインフラ部分です。アプリごとに変えるのは、コンテンツ・色・アイコン・アプリ名くらいです。
このやり方なら、2本目以降のアプリは1〜2週間で開発できます。Rorkで開発する場合も同じ考え方が応用できて、コアコンポーネントを1つのリポジトリに切り出しておけば、新しいアプリを派生させるのが格段に速くなります。
複数アプリ展開で気をつけるべき罠が1つあります。それは、各アプリのレビュー対応や問い合わせ対応の負荷です。10本運営すると、月に届くユーザー問い合わせは合計で月数十件になります。これに丁寧に対応するためには、よくある問い合わせのテンプレ返信を整備しておく必要があります。私はNotionに「問い合わせ返信テンプレ集」を作っておき、似た質問が来たらそこからコピペして文体だけ調整する運用にしていました。
ステップ7: シーズナリティと祝日トラフィックを取り込む
AdMob収益を観察していると、年に2〜3回の急上昇期があることに気づきます。日本市場での主な期間は次の通りです。
- 12月(クリスマス・年末年始): 通常月の1.3〜1.5倍
- 4月(新生活): 通常月の1.1〜1.2倍
- お盆休み(8月13〜16日): 通常月の1.2倍前後
このタイミングに合わせて、季節テーマのコンテンツを事前にリリースすることで、検索キーワードの伸びとシーズン需要の両方を取り込めます。
私の場合、毎年11月後半には「クリスマス壁紙」「年末年始の引き寄せメッセージ」を更新するアプリ内コンテンツを準備し、12月1日に一斉配信していました。これだけで12月のMAUが20〜30%伸びます。
シーズナリティは個人開発者の最大の武器の1つです。広告ネットワークもこの時期は単価が上がるので、MAU × eCPMの両方で収益が乗ります。
具体的な準備のスケジュール感を共有します。クリスマス向けのコンテンツは10月後半から制作を始め、11月20日頃にはストアレビュー提出、12月1日に配信開始というリズムでした。Apple App Storeの審査は混雑期だと数日かかることがあるので、12月直前のリリースは避けたほうが安全です。
新生活シーズン(4月)は、「新しい部屋に合う壁紙」「新しい目標を立てるためのメッセージ」のような心理的トリガーを狙ったコンテンツが伸びます。3月15日頃の配信が経験的には最も効きます。
逆に、6月・7月の梅雨時期と、9月の連休明けは、年間で最も収益が落ちる時期でもあります。この時期に新規アプリのリリースを集中させるのは避けて、既存アプリの改善や次のシーズンに向けた準備に充てるのが賢明です。
ステップ8: 数字を毎日見る習慣を作る
最後のステップは技術ではなく、心の話です。
AdMob管理画面と、各ストアのコンソール、そしてプッシュ通知配信ダッシュボード。この3つを毎朝5分眺める習慣を続けることが、長期収益化の最大の要因だと思っています。
数字を見ていると、変化に気づくのが早くなります。「昨日からあるアプリのDAUが10%落ちた」「特定のキーワードで急に検索流入が増えた」「特定の国からのアクセスが増えた」など、小さな変化が次の打ち手のヒントになります。
私が月150万円のラインに乗ったときも、特別なきっかけがあったわけではありません。日々の小さな打ち手を1年以上積み上げた結果、ある月にふと気づいたら超えていた、という感覚に近いです。継続できる人が勝てる市場です。
月150万円の先にあるもの — リスク分散としてのAI技術ブログ
ここまでAdMob一本足の話を書いてきましたが、最後に正直な話をします。
個人開発でアプリだけに依存することは、年々リスクが高くなっています。AppleやGoogleのストアポリシー変更、AdMobのeCPM変動、為替の影響など、自分でコントロールできない要因が多すぎます。私自身、AdMob収益のピークから現在では半分以下になっている時期もありました。
そのため私は2024年頃から、Claude Lab・Gemini Lab・Antigravity Lab・Rork Lab という4つのAI技術ブログサイトを運営するようになりました。このRork Lab自体もその1つです。アプリ収益とは異なる収益構造(記事単体購入・月額メンバーシップ)を持つことで、収入の柱を複数化できます。
個人開発で長く食べていくには、「アプリで月100万」というラインを1つの土台にしつつ、それとは別の収益チャネルを作ることをおすすめします。月150万円の経験は確かに大きな自信になりますが、それを永遠の収入源として頼るのは危険です。
まとめ — あなたが明日始められる1ステップ
ここまで8ステップを振り返ってきましたが、これからAdMobで本気で稼ぎたい個人開発者が明日できることは、たった1つです。
「リワード広告を中心に据えたアプリを1本だけ作って、ストア審査を通す」
これだけです。完成度ではなく、リリースを優先してください。MAU 100でも、AdMob管理画面に数字が出始めれば、本記事の8ステップが動き始める材料が揃います。
そこから先は、私が15年以上やってきたのと同じ道のりです。月1回のアップデート、ASOの磨き込み、複数アプリの展開、シーズナリティの取り込み、数字を見続ける習慣 — これらを淡々と続けるだけで、月数十万円のラインまでは現実的に到達できます。月150万円はその先にあります。
私自身がこの場で誇張なく書けるのは、「特別な才能ではなく、続けたから到達した」という事実だけです。それは裏返せば、続けられる人なら誰でも辿り着ける道だということでもあります。
最後に1つだけ補足させてください。本記事に書いた8ステップは、現時点の私の視点で整理したものですが、AdMobや各ストアの仕組みは数年単位で変化していきます。たとえば、2020年代前半はインタースティシャル広告のeCPMが高かった時期がありましたが、現在はリワード広告のほうが明確に高単価です。今後さらに新しい広告フォーマット(プレイアブル広告など)が主流になる可能性もあります。
その変化に追従できるかどうかは、結局のところ「数字を毎日見ているか」「アプリ運営を継続しているか」にかかっています。技術より姿勢のほうが重要だ、というのが、16年間続けてきた私の正直な結論です。
Rorkを使って今からモバイルアプリを始める方には、本記事の8ステップが時間の節約になることを願っています。私自身、もし2014年の自分にこの記事を渡せたら、おそらくAdMob月150万円のラインに3年早く到達できたと思います。そういう種類の文章として書きました。