夜、表計算ソフトを開いて「アプリを出すまでにかかるお金」を書き出していたときのことです。Rork は無料、Supabase も無料、EAS も無料——縦に並べた列の合計が、ほぼ 0 円になりました。
けれど、その表には欠けているものがありました。いつ払うか、という列です。
金額が小さくても、請求が重なる日は一点に集まります。そして一部のサービスは、請求ではなく「止まる」という形で、こちらに支払いを迫ってきます。ここでは、公式の料金ページ(2026年10月16日に確認)を突き合わせて、初年度の請求の順番を並べ直した記録をお伝えします。金額は変わりうるので、払う前に必ず各ページをご覧ください。
先に、数字を一枚の表に置きます
金額はすべて各サービスの公式ページの記載です。為替は払う日のレートで決まるため、円換算はしておりません。
| サービス | 金額 | 払う(止まる)きっかけ |
|---|---|---|
| Rork Free | $0 | 月 35 クレジット(主要市場)、日次の上限は 5 デザインクレジット |
| Rork Pro | $20 / 月 | 月 100 クレジット、日次上限なし。初回購入日を起点に毎月リセット |
| Apple Developer Program | $99 / 年(現地通貨で表示される地域あり) | App Store への提出・配信を始めるとき |
| Google Play デベロッパー登録 | $25(1回のみ) | Android アプリを公開するとき |
| EAS Free | $0 | 月に Android 15 本・iOS 15 本まで。低優先度のキュー |
| EAS Starter | $19 / 月 + 従量 | 無料のビルド枠を使い切ったとき |
| Supabase Free | $0 | アクティブなプロジェクト 2 つまで。1 週間使われないと一時停止 |
| Supabase Pro | $25 / 月から | 無料枠の上限や停止を避けたいとき |
Rork の金額と無料枠の数字はPlans & Subscriptions、Apple はApple Developer Program のページ、Google Play は登録手数料のヘルプ、EAS はExpo の料金ページ、Supabase は料金ページに基づいております。
請求が届く順番は、作業の順番とほぼ同じです
並べてみて気づいたのは、お金の動く順番が、作業の進み方にそのまま重なることでした。
- 画面を作る段階——Rork Free で足ります。ただし日次の上限は「デザインクレジット」で 5 と書かれているため、ここで止まる日が先に来ます。この仕組みは無料枠の日次上限を扱った記事に詳しく整理しました。
- 実機で動かしたくなる段階——最初の請求は、たぶん Rork Pro の $20 になります。iOS のビルドやクラウドのシミュレータは、開始したメッセージとは別に上乗せで課金される、と公式が明記しているためです。減り方はBuild と Cloud の残高を分けて見る記事で切り分けています。
- ストアに出す段階——ここで Apple の $99 と Google Play の $25 が重なります。実機テストだけなら Apple の登録を先送りできる場面もあり、その境目はCompanion の無料テストの上限を扱った記事に書きました。
- リリース直前の追い込み——EAS の無料ビルドは月 15 本ずつです。数字だけ見れば十分に思えますが、低優先度のキューなので、本数より「待ち時間」のほうが先に効いてきます。
- 公開から数週間後——Supabase の無料プロジェクトが、使われない週に止まっていないかを確かめる時期です。
つまり初年度の請求は、1 月から 12 月へ均等に並ぶのではなく、「出す直前」に集まります。
初年度の最小の合計を、二通りで計算します
足し算そのものは単純ですが、前提を二つに分けておくと判断しやすくなります。
| 前提 | 内訳 | 合計(ドル建て) |
|---|---|---|
| Rork Pro を 3 か月だけ使い、iOS と Android の両方を公開 | $20 × 3 + $99 + $25 | $184 |
| Rork Pro を 12 か月続け、両方を公開 | $20 × 12 + $99 + $25 | $364 |
ここには、EAS の Starter と Supabase の Pro を入れておりません。無料枠のまま収まる前提だからです。収まらなくなった場合は、それぞれ $19 と $25 が月額で加わります。
Apple の $99 は毎年、Google Play の $25 は最初の一度きりです。2 年目以降も続くのは前者だけ、という違いは、早めに頭に入れておくと楽になります。
「請求される」と「止まる」は、別の問題です
私が見落としかけたのは、ここでした。それまでは請求額だけを見張っておりましたが、無料枠の終わり方は、サービスごとにまったく違うのです。
| サービス | 無料枠が尽きる・使われないと | お金は動くか |
|---|---|---|
| Rork | クレジットが尽きる。月初のリセットを待つか、プランを上げる | 上げない限り動かない |
| EAS | 無料のビルドと更新を使い切ったら Starter への移行が案内される | 上げない限り動かない |
| Supabase | 無料プロジェクトは 1 週間使われないと一時停止される | 請求は来ないが、アプリの裏側が止まる |
Supabase の停止は、請求書を伴わないぶん、気づくのが遅れやすい種類の出来事です。画面は開くのにデータだけ返ってこない、という症状になりうるからです。毎月の請求額を眺めているだけでは見つかりません。
請求書より先に、止まる日付を予定表に入れておく。 これが、今回の棚卸しで引いた線引きです。
今日やることは、予定表への 4 行です
ここまでの内容を、そのまま予定表の 4 行にしてみてください。
- 無料枠の月初リセット日(Rork Free は暦月の初め)
- Rork Pro を使い始めたら、その初回購入日(毎月の更新日になります)
- Apple の登録日($99 の更新はこの日を起点に考えます)
- Supabase のプロジェクトを最後に開いた日から 1 週間後
金額の大きい項目より、日付のずれた項目のほうが、あとで手間を増やします。店舗向けのアプリを長く運用していると、年に一度だけ来る支払いほど記憶から落ちる、と感じるのです。
まずは今日、この 4 行を入力するところから始めていただければと思います。そのうえで、アプリが収益を生み始める段階の判断は、月額 100 円のアプリで採算を見た実測の記事が、入口の次の一歩になるかもしれません。