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アプリ開発/2026-05-31中級

AdMobメディエーションの優先度を見直して、eCPMの底上げを試した記録

個人開発の壁紙アプリで、AdMobメディエーションのネットワーク優先度を手動で見直しながらeCPMの底上げを試している記録です。自動最適化だけに任せていた頃との違いと、運用で気づいたことをまとめます。

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壁紙アプリを長く運営していると、ある時期から収益がきれいに横ばいになる瞬間が訪れます。ダウンロードもアクティブユーザーも大きくは減っていないのに、広告収益だけが伸び悩む。私が最近向き合っているのが、まさにこの停滞でした。

原因を探っていくと、行き着いたのはメディエーション、つまり複数の広告ネットワークをまとめて配信し、最も高い単価を出すネットワークに表示枠を渡す仕組みの設定でした。長らく自動最適化に任せきりにしていたこの部分を、改めて手で見直してみたところ、思っていた以上に「任せきりの落とし穴」があることに気づきました。今回はその過程で分かったことを、運用記録として残しておきます。

自動最適化に任せきりだった頃の前提を疑う

AdMobには「最適化された広告ネットワーク」という仕組みがあり、リアルタイム入札(オープン・ビディング)に対応したネットワークについては、基本的に単価の高いものが自動で選ばれます。私もこの説明を信じて、長らく設定画面をほとんど開いていませんでした。

ところが、実際に管理画面の「メディエーション」レポートを国別・ネットワーク別に分解してみると、いくつか引っかかる点が出てきました。

  • リアルタイム入札に対応していない「ウォーターフォール」のネットワークが、古い固定eCPM値のまま放置されていた
  • 特定の地域で、本来もっと高く買えるはずのネットワークが、低いeCPM設定のせいで入札順位の下に沈んでいた
  • 表示はされているのに、フィルレート(広告リクエストに対して実際に広告が返ってきた割合)が極端に低いネットワークが混ざっていた

自動最適化が効くのは、あくまでリアルタイム入札の枠の中の話です。ウォーターフォールに残っているネットワークの固定値は、自分で見直さない限り何年でも古いままになります。ここを放置していたのが、停滞の一因でした。

まず「どこで損しているか」を数字で特定する

手を入れる前に、感覚ではなく数字で現状を把握することにしました。AdMobの管理画面から確認したのは、次の4つの指標です。

  • ネットワーク別のeCPM(実効的な千回表示あたり収益)
  • フィルレート
  • 表示回数(インプレッション)
  • 国・地域別の内訳

特に効いたのが、国別の分解です。私の壁紙アプリはダウンロードの多くが英語圏と日本で、この2地域でeCPMが3倍近く違っていました。全体平均で見ていると「まあこんなものか」と感じてしまう数字も、地域で割ると、改善余地のある枠がはっきり浮かび上がってきます。

ここで意識したのは、平均値に騙されないことです。全体のeCPMが横ばいでも、その内訳では「高単価地域が微減」と「低単価地域が微増」が打ち消し合っているだけ、ということがありました。停滞しているように見えて、実は中で起きている変化が見えなくなっていただけだったのです。

ウォーターフォールの固定eCPMを段階的に調整する

問題が見えたので、ウォーターフォールに残っているネットワークの固定eCPM値を見直しました。ここでやりがちな失敗が、いきなり大きく値を上げてしまうことです。固定eCPMを高く設定しすぎると、そのネットワークが入札順位の上位に来るものの、実際にはその単価で買い手がつかず、結果として広告が表示されない(フィルレートが落ちる)という事態が起きます。

私が取ったのは、過去30日の実績eCPMを基準に、10〜15%刻みで少しずつ調整していく方法です。

  1. 直近のレポートから、各ネットワークの実績eCPMを書き出す
  2. リアルタイム入札に対応しているネットワークは、原則そのまま自動に委ねる
  3. ウォーターフォールのネットワークだけ、実績値に近い固定eCPMへ寄せる
  4. 数日運用して、フィルレートと表示回数が落ちていないかを確認する
  5. 問題なければ次の調整、落ちていれば一段戻す

地味な作業ですが、この「少し動かして数日見る」を繰り返すと、無理なく単価を引き上げられる帯と、それ以上は表示が止まってしまう帯の境目が見えてきます。一度の大きな変更で当てにいくより、小さく刻んだほうが結果的に早く落ち着きました。

自動化で楽をする部分と、手で見る部分を分ける

この見直しを進めるなかで、レポートの取得と整理にはClaude in Chromeを活用しています。管理画面を開いて国別・ネットワーク別の数字を読み取り、前回との差分を表にまとめる、といった反復作業は、毎週手で写すには負担が大きいからです。データを整える部分を自動化したことで、肝心の「どこをどう動かすか」という判断に時間を使えるようになりました。

ここははっきり線を引いています。数字を集めて整える工程は自動化に任せ、優先度をどう変えるかという最終判断は自分で下す。収益に直結する設定だからこそ、最後の一歩は人が見るべきだと考えています。広告の出し方ひとつでユーザーの体験は変わりますし、そこは作品づくりと同じで、手の感触を残しておきたい部分です。

数週間運用してみての所感

派手な施策ではないので、収益が一晩で跳ね上がるようなことはありません。それでも、放置していたウォーターフォールの固定値を実績に寄せ、地域ごとに優先度を整えたことで、停滞していたeCPMが少しずつ反応し始めました。何より、自分のアプリの収益が「どの地域の、どのネットワークで、どう生まれているか」を数字で説明できるようになったことが、いちばんの収穫だったと感じています。

メディエーションは、一度設定したら終わりではなく、季節やネットワーク側の事情で少しずつ最適点が動いていきます。次は、フィルレートが慢性的に低いネットワークを思いきって整理し、枠をシンプルにしたうえで、入札が健全に回るかを見ていくつもりです。

同じように収益の横ばいに悩んでいる個人開発の方は、まず管理画面のメディエーションレポートを国別に分解してみることをおすすめします。平均値の裏に隠れていた改善余地が、思いのほか見つかるかもしれません。お読みいただきありがとうございました。

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