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⬡ 開発ツール/2026-05-09上級

Rork の A/B テスト基盤を GrowthBook と PostHog でゼロから組む

Firebase に頼らず、GrowthBook と PostHog をオープンソースで組み合わせて Rork アプリの A/B テスト基盤を構築する手順を、SDK 統合からベイズ統計の解釈、運用上の落とし穴までまとめました。

GrowthBookPostHog3A/Bテスト9Feature FlagsCloudflare Workers25Rork585実験基盤

✦ プレミアム記事

2025 年の終わり頃、自分の壁紙アプリで「定期購入のオンボーディング画面を 3 種類比較したい」という小さな実験を Firebase A/B Testing で回そうとして、結局やめてしまったことがありました。理由は単純で、必要な統計的検出力に届くサンプル数を集めるには 3 週間以上かかること、Remote Config の更新が端末に反映されるまでのタイムラグがコホートを濁すこと、そして Firebase の課金が他の機能と紐付いて切り離しにくいことの 3 点でした。

それから、いくつかの代替を試した結果、私自身の運用に一番フィットしたのが GrowthBook(実験エンジン)と PostHog(プロダクト分析)の組み合わせでした。両方ともオープンソースで、自己ホストすればコストはサーバー代だけ。Rork で書き出した React Native アプリには公式の SDK が動き、Cloudflare Workers をエッジ評価に使えば、フラグ取得のレイテンシは Firebase Remote Config よりも安定して短く抑えられます。

ここではRork で開発したアプリにこの 2 つを組み込み、最初の実験を回すまでの全工程を、自分が運用で使っているそのままの形で書きます。途中で詰まりがちな統計の話と、本番運用で痛い目を見ないための運用パターンも添えます。

なぜ Firebase ではなく GrowthBook + PostHog なのか

Firebase Remote Config と Firebase Analytics の組み合わせは、最初の A/B テストを始めるなら確かに最短経路です。ただ実験を本格的に回し始めると、いくつかの不便さが見えてきます。

ひとつは統計エンジンの不透明さで、Firebase A/B Testing は内部のベイズ統計エンジンの仮定をユーザー側で調整できません。事前分布や有意水準を変更したいケース、CUPED(Controlled-experiment Using Pre-Experiment Data)で分散削減したいケースには手が届きません。

もうひとつは実験設計と分析の分離です。Firebase Remote Config はフラグ配信、Firebase Analytics はイベント収集と機能が分かれており、実験の途中経過を一画面で追えません。GrowthBook は実験の定義・配信・解析を 1 つのダッシュボードで提供し、PostHog をデータソースに指定すれば PostHog のイベント定義をそのまま実験のメトリクスとして使えます。

最後に、自己ホストでベンダーロックインを避けられるのも私が現在この構成を選んでいる理由です。GrowthBook は MIT ライセンス、PostHog はコア部分が MIT/Apache 2.0 ライセンスで、両方とも Docker コンテナで動きます。GrowthBook Cloud には 3 ユーザーまで使える無料枠があり、PostHog Cloud にも月 100 万イベントまでの無料枠があるので、いきなり自己ホストにせずクラウド版を入口にしてもよいでしょう。私自身は最初の半年は両方クラウド版で運用し、月の請求が見えてきた段階で GrowthBook だけ Fly.io に移しました。

構成の全体像

実験基盤は次の 4 つのコンポーネントで構成します。

  • GrowthBook 管理画面:実験の定義・配信ルール・統計解析を担う Web UI と API。GrowthBook Cloud か自己ホスト(Fly.io / Railway / Hetzner)。
  • GrowthBook Edge SDK on Cloudflare Workers:機能フラグを Rork アプリに低レイテンシで配信するエッジ評価レイヤー。
  • PostHog:イベント収集・ファネル分析・コホート定義のデータ基盤。GrowthBook の指標ソースとしても利用。
  • Rork アプリ(React Native / Expo):@growthbook/growthbook-react と posthog-react-native を組み込み、ユーザー識別と露出ログを送ります。

この構成では、ユーザーがアプリを起動した瞬間に Cloudflare Workers が GrowthBook の最新フラグセットを返し、露出イベントは PostHog に流れます。GrowthBook 管理画面は PostHog の $pageview や subscription_started といった既存イベントを集計し、ベイズ統計で勝ち負けを判定します。

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この記事で得られること
✦GrowthBook と PostHog の自己ホストを Rork アプリに繋ぎ込み、Firebase に依存しない A/B テスト基盤をその日のうちに動かせる
✦Cloudflare Workers の Edge SDK を介して機能フラグの評価レイテンシを 30ms 以下に抑える具体的な実装パターンを習得できる
✦ベイズ統計の指標を読み解いて『有意になったから勝ち』ではなく『どこで止めるか』を自分で判断できるようになる
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