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開発ツール/2026-07-08上級

端末の空き容量が尽きたとき、アプリは何を守るか

書き込み失敗を前提に設計するExpo/React Nativeアプリの耐性パターン。空き容量予算・LRU退避・データ保護優先度・無言失敗を防ぐテレメトリまで、6本の壁紙アプリの運用から得た実装をまとめました。

Expo133React Native198ストレージ3エラーハンドリング4アーキテクチャ15

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ある壁紙アプリに、星ひとつのレビューが届いたことがあります。「お気に入りに登録しても、次に開くと消えている」。手元では再現しませんでした。何日か経って、同じ症状の問い合わせがもう一件。共通点は、どちらも端末の空き容量がほとんど残っていなかったことでした。

写真をたくさん撮る方の iPhone は、しばしば残り数百MBで動いています。そういう端末では、AsyncStorage への書き込みが静かに失敗します。例外は投げられるのに、こちらが握りつぶしていれば、ユーザーには「保存したはずのものが消える」という体験だけが残ります。

空き容量の枯渇を、めったに起きないエッジケースとして扱ってきたことを反省しました。実際には、無料の写真・壁紙・カメラ系アプリの利用者ほど、この状態に近いところで生活しています。書き込みが失敗することを前提に据えて、アプリが「何を犠牲にし、何を最後まで守るか」を設計する。その考え方と実装を、個人開発で6本のアプリを回してきた経験からまとめます。

空き容量の枯渇は、ロングテールではなく日常

手元の6本の壁紙アプリで、書き込み例外を Crashlytics の非致命ログとして計測し始めたところ、SQLITE_FULLENOSPC(No space left on device)に類する失敗が、月間アクティブの 0.6〜1.4% の端末で少なくとも一度は発生していました。クラッシュには至らないため、従来のクラッシュフリー率には現れていなかった数字です。

しかもこの層は、無料アプリにとって軽視できない存在です。端末を使い込み、写真を溜め込み、アプリを長く使ってくれている方ほど、空き容量が細っています。つまり書き込み失敗を放置することは、最もロイヤルな利用者から静かに信頼を失う行為でもありました。

数字にしてみて、ようやく胸に落ちました。これは「稀に起きる不具合」ではなく、「一定割合で必ず起きる運用条件」だったのです。

書き込みは、どこで失敗するのか

まず、失敗しうる面を洗い出します。Expo / React Native のアプリで、ディスクへの書き込みが関わる主な経路は次の通りです。

書き込み経路典型的な失敗失われるもの
AsyncStorage / MMKV書き込み例外・部分書き込み設定、お気に入り、進捗
SQLite(expo-sqlite)SQLITE_FULL、トランザクション巻き戻し構造化データ、キャッシュ行
expo-file-system の writeAsyncENOSPC、途中で切れたファイルダウンロード成果物
画像ディスクキャッシュ書き込み失敗の握りつぶし再取得可能な画像
ログ・分析イベントの永続化キューの書き込み失敗テレメトリ(皮肉にも失敗の記録自体)

重要なのは、これらが同じ「失敗」でも、失われるものの重みが違うという点です。再取得できる画像キャッシュと、二度と戻らない購入状態を、同じ扱いにしてはいけません。設計の出発点はここにあります。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

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この記事で得られること
書き込み失敗を分類し、退避してよいキャッシュと死守すべきデータを分ける優先度設計
空き容量予算とLRU退避を組み合わせた、SQLITE_FULL/ENOSPCに耐える実装パターン
無言失敗を防ぐテレメトリとUXを、個人開発でも回せる最小構成で用意する方法
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