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⬡ 開発ツール/2026-07-28上級

prebuild --clean で消える手入れを、上げる前に数える — Expo SDK 57 移行の棚卸し

Expo SDK 57 への移行前に、ios/ へ加えた手入れが prebuild の再生成でいくつ失われるかを数える手順をまとめました。素の差分649行のうち意味を持つのは3行。ノイズを正規化して実質的な変更だけを抽出するスクリプトと、config plugin への移し替えを実測つきで共有します。

Rork600Expo228prebuild4config plugin6Expo SDK 575アップグレード4ネイティブコードReact Native242

✦ プレミアム記事

Expo SDK 57 が公開され、React Native が 0.86 へ上がりました。破壊的変更がない想定と告知されているので、追従そのものは軽く済みそうです。

それでも、個人開発で運用している Rork 生成アプリのひとつに expo prebuild --clean を打つ前、ひとつ確かめておきたいことがありました。

ios/ に自分で入れた手入れが、いくつあるのか。

Rork が吐くのはコード所有型のプロジェクトです。生成された ios/ を Xcode で開き、リンカフラグを1つ足し、AppDelegate に SDK の初期化を1行差し込みます。そういう小さな手入れは、入れた瞬間には覚えていても、三ヶ月経つと忘れます。そして --clean はそれを問答無用で消します。

そこで、消えるものだけを数える仕組みを作りました。作ってみると、事前の見立てとはかなり違う数字が出てきました。

「差分が多いから危ない」は成り立たない

検証用に、prebuild が2回吐いた ios/ ツリーを模したフィクスチャを組みました。ソース320本相当、project.pbxproj は331行。片方(baseline)は素の生成物、もう片方(current)には現実によくある手入れを3つだけ入れてあります。

手入れの場所内容
MyApp/AppDelegate.mm[FIRApp configure]; を1行挿入
MyApp/Info.plistNSCameraUsageDescription を追加
MyApp.xcodeproj/project.pbxprojOTHER_LDFLAGS = "-ObjC" を追加

実質的な変更は3行。これに素の diff をかけると、こうなりました。

$ diff -rq ./baseline ./current | wc -l
6

$ diff -r ./baseline ./current | grep -c '^[<>]'
653

$ wc -l < ./baseline/MyApp.xcodeproj/project.pbxproj
331

$ diff ./baseline/.../project.pbxproj ./current/.../project.pbxproj | grep -c '^[<>]'
641

331行のファイルに、641行の差分。両側のほぼ全行が「変わった」と報告されています。

原因は pbxproj の objectID です。Xcode のプロジェクトファイルは各オブジェクトを24桁の16進数で識別しており、この値は再生成のたびに総入れ替えになります。内容が1文字も変わっていなくても、全行が別物として並びます。

つまり差分の量は、危険度を何ひとつ表していません。653行の海の中に、本当に守るべき3行が沈んでいます。走査対象に絞った649行で見ても、意味を持つのは 0.46% です。この比率を先に知らないまま --clean を打つと、消えたことにすら気づけません。

除外するもの、正規化するもの

数える前に、対象を絞ります。判断は2段階です。

そもそも見ない(差分を見る価値がないディレクトリ)

  • Pods/ — pod install の産物です。守るべき情報は Podfile 側にあります
  • build/ DerivedData/ .gradle/ app/build/ — ビルド中間物
  • xcuserdata/ — Xcode の UI 状態。開いた人ごとに毎回変わります

見るけれど、揺れは潰す対象(意味を持たない表現の正規化)

正規化ルール対象置換後
pbxproj objectID24桁の16進数<OBJID>
CocoaPods チェックサム40桁の16進数<SHA1>
生成時刻ISO 8601 形式の日時<TIME>
絶対パス/Users/… /home/…<PATH>

絶対パスを入れているのは、マシンを移ったときやチームで共有したときに効くためです。CI のコンテナと手元の Mac ではホームディレクトリが違い、それだけで xcconfig が全面的に「変わった」ことになります。

✦

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✦ios/ の差分649行のうち実質的な手入れは3行だけでした。何を除外し何を正規化すれば残り646行のノイズが消えるのかを、ルールを1つずつ外したアブレーション実測で示します
✦再生成で失われる変更だけを数え、1件でもあれば exit 1 を返すスクリプト全文を掲載しました。320ソース規模のツリーで0.04秒。アップグレード前のゲートとしてそのまま置けます
✦数え上げた手入れを config plugin へ移し替える実装まで通します。冪等性の担保と、アンカーが消えたときに警告ではなく停止させる理由を、実際の検証出力とともに説明します
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