「AIでアプリが作れる」と言われて数年が経ち、いざ Rork を試してみたところ、想像以上に出来が良くて驚いた一方で、「これは本当に有料に見合うのか?」と何度も自問しました。ここでは私が2026年1月から3ヶ月かけて Rork で3本のアプリを実際に App Store に並べた経験から、AI アプリビルダーとしての本当の実力を率直にお伝えします。
宣伝記事ではありません。良いところも、まだ厳しいところも、料金プランを選ぶときに迷う人が判断材料にできるよう、できるだけ具体的に書いています。
何を作ったか — 3ヶ月で公開した3本のアプリ
評価の前提として、私が Rork で作ったものを正直に並べておきます。
- 1本目: 健康管理系のシンプルなトラッキングアプリ(着手から公開まで4日)
- 2本目: ローカルのカフェを集めた地図ベースのリスト型アプリ(10日)
- 3本目: サブスクリプション課金を組み込んだ画像加工系アプリ(3週間)
機能の複雑度を段階的に上げて検証したので、Rork が「どこまで戦えて、どこから人手が必要になるか」が見えてきました。すべて React Native + Expo で生成され、TestFlight 経由で実機テストまで通しています。
良かったところ — UI 生成の質と修正サイクルの速さ
最初に正直な感想として、UI 生成の質は2025年に触ったツール群とは別格でした。たとえば「カードリストの上に検索バーを置き、フィルターをチップで並べて」と日本語で投げるだけで、最初の出力が80点に乗ります。色味やレイアウトの細かい調整も、追加プロンプト1〜2回で揃います。
特に評価したいのは、生成後の修正が驚くほど壊れにくいことです。既存ファイルを書き換えるとき、関連コンポーネントへの影響をきちんと見て、不要な書き換えを避けてくれます。私が以前使ったツールでは、機能追加のたびに既存画面のレイアウトが崩れる事故が頻発していました。その点で Rork はかなり安定しています。
もうひとつ強く実感したのは、Expo との統合です。プッシュ通知、画像ピッカー、SecureStore など、よく使う Expo モジュールを最初から組み込んだコードを返してきます。「どのライブラリを入れて、どこに何を書くか」を毎回検索して回る手間が、確かに数時間単位で減ります。
厳しいと感じたところ — 複雑な状態管理とデバッグ
一方で、3本目のサブスクリプションアプリで強く感じたのは、状態が複雑になると Rork 単体では追いきれないことです。RevenueCat と Supabase をまたぐ非同期処理、購入復元、エラー時のロールバック、こうした実運用の領域に入ると、生成されたコードが部分的に間違っており、自分で読んで直す必要が出てきました。
つまり「コードが読めない人だけで完結する」段階にはまだ至っていません。React Native の最低限の知識(useState、useEffect、Context API、async/await)があるかどうかで、Rork の体験は大きく変わります。逆に言えば、その素養がある個人開発者にとっては、最高のスピードブースターです。
デバッグについては、エラーメッセージを Rork に貼って解決を依頼する流れがある程度機能します。ただし、シミュレーターでは動くのに実機で落ちる、といった環境依存の問題に当たると、「どこで何が起きているか」を切り分ける作業は人間側に残ります。実機ログを Xcode や Logcat から拾える人なら問題ありませんが、まったくの未経験者は1段階ハードルが上がる印象です。
3本分の実測値 — 何回のプロンプトで公開まで届いたか
感想だけでは判断材料になりませんので、手元のログから拾った数字を置いておきます。すべて2026年1〜3月、同一アカウントでの計測です。
| アプリ | 公開までの日数 | プロンプト往復数 | 人手で書き直した割合 |
|---|---|---|---|
| 健康トラッキング(画面3枚・ローカル保存のみ) | 4日 | 約28回 | 体感5%未満 |
| カフェ地図リスト(位置情報・外部API) | 10日 | 約60回 | 約15% |
| 画像加工+サブスク課金 | 21日 | 約140回 | 約35% |
数字を並べて見えてきたのは、プロンプト往復数は機能数ではなく「外部サービスの数」に比例して伸びるという傾向でした。画面を10枚に増やしても往復はさほど増えません。RevenueCat、Supabase、位置情報と、境界をまたぐたびに一気に跳ね上がります。
見積もりを立てるときは、画面数ではなく連携先の数を数える。これが3本作ってようやく腹落ちした基準です。
生成コードを人手で直した実例 — 購入復元のロールバック
「35%を書き直した」の中身が一番参考になると思いますので、実際に手を入れた箇所をひとつ出しておきます。
Rork が最初に返してきた購入復元の処理は、おおむねこうした形でした。動きはします。ただ、Supabase 側の更新が失敗したときに、アプリ内では課金済みとして扱われたまま残ります。
// 生成された初期コード(問題あり)
async function restorePurchases(userId: string) {
const info = await Purchases.restorePurchases();
const isPro = info.entitlements.active["pro"] !== undefined;
setProStatus(isPro); // ← 先にローカル状態を書き換えている
await supabase.from("profiles").update({ is_pro: isPro }).eq("id", userId);
}ローカル状態を先に更新しているため、update が通信エラーで落ちても画面は Pro のままです。次回起動時にサーバー側を正として読み直すと、ユーザーから見れば「昨日まで使えていた機能が消えた」ことになります。返金対応につながりやすい壊れ方です。
書き直したのがこちらです。サーバーへの反映が確定してから、はじめてローカルを動かします。
// 書き直したコード
async function restorePurchases(userId: string) {
const info = await Purchases.restorePurchases();
const isPro = info.entitlements.active["pro"] !== undefined;
const { error } = await supabase
.from("profiles")
.update({ is_pro: isPro, restored_at: new Date().toISOString() })
.eq("id", userId);
if (error) {
// サーバーが受け取れていない以上、ローカルも動かさない
console.warn("[restore] sync failed", error.message);
showToast("購入情報の同期に失敗しました。通信状況をご確認のうえ、もう一度お試しください。");
return { ok: false as const };
}
setProStatus(isPro);
return { ok: true as const, isPro };
}差分としては数行です。けれども、この数行は「課金の整合性をどちらに寄せるか」という設計判断であって、プロンプトの書き方では埋まりません。AI は動くコードを書きますが、失敗したときにどちらへ倒すかは、そのプロダクトを持っている人しか決められないのだと思います。
私が Rork を「読める人にとってのスピードブースター」と位置づけているのは、この一点に尽きます。
料金プランは妥当か — 3ヶ月使って感じたコスト感
検索でよく見かける「rork ai app builder pricing 2026」「Rork 料金」という疑問に、使った側からの答えを書いておきます。
私は無料枠から入り、2本目を作る途中で有料プランに上げました。月額課金は、外注に出して1機能数万円〜十数万円というラインを考えれば、十分回収できる水準です。「数時間で作って数日で公開できる」サイクルが回り始めると、機会損失の方が大きくなるからです。
ただし、「お試しで触りたいだけ」の段階で有料に上げるのはおすすめしません。無料枠で1本通しでアプリを作ってみて、生成サイクルが自分の手に馴染むか確認してから上げる方が安全です。詳しい料金体系の選び方は Rorkの料金プランを正直に比較する にまとめています。
実際のプロンプト例 — 私がよく使う型
参考までに、私が3本のアプリを作る中で何度も使った汎用プロンプトの型を載せておきます。最初の出力品質はプロンプトの粒度に大きく左右されるので、テンプレ化しておくと毎回ブレません。
[アプリ概要]
ローカルのカフェ情報を集めて、現在地から近い順に並べるアプリ。
[このプロンプトで作ってほしい画面]
ホーム画面。
- 上部に検索バー(キーワード検索 + フィルターチップ)
- 中央: カフェのカードリスト(縦スクロール)
- カードには 写真 / 店名 / 距離 / ★評価 を表示
- 下部にタブバー(ホーム / お気に入り / 設定)
[使ってほしい技術]
- React Native + Expo SDK 53 以降
- ナビゲーションは Expo Router
- 画像は expo-image を使用
- 距離計算は expo-location
[出力規則]
- TypeScript
- 既存のテーマカラーを継承
- ダークモード対応
- 日本語コメントポイントは、「画面の役割」「載せる要素」「使う技術」「出力規則」を分けて書くことです。1つのブロックに混ぜて書くと、AI 側が優先順位を読み違えやすくなります。
他の AI アプリビルダーとどう違うか
最後に、よく比較される Lovable や Bolt との位置づけを、私の経験ベースで整理しておきます。
- Web アプリ中心 なら Lovable や v0 が選択肢に入りますが、ネイティブモバイルを目指すなら Rork が明確に作りやすいです
- App Store / Google Play への提出 までを見据えるなら、Expo との統合度が高い Rork は、申請までの距離が短く済みます
- エンジニア経験ゼロから本格的なバックエンド込みのアプリを作りたい なら、現時点ではまだ部分的に人手の介入が必要です
私個人としては、ネイティブのスマホアプリを「短期間で形にして、ストアに並べて反応を見たい」個人開発者・デザイナー・スタートアップの初動には、間違いなくおすすめできるツールです。生成の当たり外れをもう少し細かく知りたい方は、機能単位で検証した Rork Max の SwiftUI ネイティブ生成能力を30機能で検証する が参考になるかと思います。
次のアクション
ここまで読んでくださって、もし「まずは試してみよう」と思われたら、いきなり凝ったアプリを目指さず、最初は2〜3画面のシンプルなアプリを公開まで通すことを強くおすすめします。生成 → ビルド → TestFlight 配布 → ストア提出という一連のサイクルを一度回しきると、Rork の本当のありがたみが体感できます。
最初のサイクルで詰まりやすいビルド周りは Rork でアプリがビルドできない?初心者あるあるエラー FAQ に集めてあります。手が止まったときの逃げ道として、先に一読しておくと精神的に楽です。