「Rork と Lovable、どっちが良いんですか?」「Bolt と Rork は何が違うんですか?」 — ここ数ヶ月、こうした質問を受ける機会が一気に増えました。AI アプリビルダー界隈は短期間でツールが増え、それぞれが似たような訴求をしているので、選ぶ側からすると違いがわからないのは無理もありません。
私自身、4 つすべてを実際のプロジェクトで使ってみました。完成までいったもの、途中で別ツールに乗り換えたもの、結論として「これは自分には合わない」と判断したもの、いろいろです。その経験から言えるのは、「どれが優れているか」より「どの状況にどれが合うか」で考える方が、はるかに実用的だということです。
ここでは4 ツールを横並びでスペック比較するのではなく、「あなたの状況がどれに該当するか」という 5 つの問いに沿って判断する形で書きます。スペック表だけ眺めて選ぶより、自分の状況に引きつけて読んでください。
問い 1: ネイティブモバイルアプリか、ウェブアプリか
最も基礎的な分かれ目です。これによって候補は大きく絞られます。
ネイティブの iOS / Android アプリを作りたい場合、現実的な選択肢は Rork と FlutterFlow に絞られます。Lovable と Bolt は基本的にウェブアプリ向けで、モバイル対応もありますが「PWA としてモバイルで開ける」レベルです。App Store / Google Play で配信する本物のネイティブアプリを作るなら、この 2 つから選ぶことになります。
ウェブアプリ(SaaS、ランディングページ、社内ツールなど)を作りたい場合は、Lovable と Bolt が主戦場です。React / Next.js のコードが生成され、Vercel などにデプロイできる形で出てきます。
ハイブリッド寄りな選択として、「ウェブとモバイル両方で動かしたい」場合は FlutterFlow が比較的得意です。Flutter の特性として 1 つのコードで複数プラットフォームに展開できるからです。
問い 2: 生成されるコードを自分でいじりたいか、いじりたくないか
私が一番見落とされがちだと感じている軸です。
「生成されたあとも自分でコードを書き続けたい」場合、Rork が明確に向いています。Rork は本物の SwiftUI / Kotlin コードを出してくるので、Xcode や Android Studio で開いて自由に手を入れられます。AI が作ったところと自分で書いたところが混在しても、ちゃんとビルドが通ります。
Lovable と Bolt も React コードを出してくれるので、いじろうと思えばいじれます。ただし、これらのツールは「いじったあとに AI に再生成させる」と、自分の修正が上書きされることが多いです。AI と人間の共存はやや工夫が必要です。
FlutterFlow は GUI でコンポーネントを組む側面が強く、生成された Dart コードをいじるよりも、GUI 上で操作するワークフローに最適化されています。コードファーストの開発者には少し合いません。
私の判断軸はこうです。「最終的にコードを自分の所有物として保守したい」なら Rork、「AI に任せきりで、コードは黒箱で良い」なら Lovable や FlutterFlow が向きます。
問い 3: バックエンドをどこに置くか
アプリは UI だけで完結しません。データベース、認証、ストレージ、関数実行といったバックエンドが必要になります。
Lovable は Supabase との統合が深く、認証・DB・ストレージをほぼノーコードで設定できます。バックエンドの面倒を見たくないウェブアプリ開発者には強い選択肢です。
Bolt は WebContainers の上で動く特性から、Node.js バックエンドを同居させやすい構造です。フロントとバックを 1 つのプロジェクトで完結させたい場合に向きます。
Rork は SwiftData などのオンデバイスストレージは標準で扱えますが、サーバーサイドが必要な場合は別途 Supabase や Firebase を組み合わせる形になります。Rork の生成コードに Firebase SDK を組み込んでいく作業が発生するので、純粋なノーコード感は失われます。
FlutterFlow は Firebase との統合が伝統的に強く、Firestore・Auth・Cloud Functions をひとつの管理画面で扱えます。バックエンドまでまとめて FlutterFlow に任せる体験は完成度が高いです。
「バックエンドも含めてオールインワンで欲しい」なら Lovable または FlutterFlow、「フロントは Rork、バックエンドは別物で組み立てる」なら Rork、という選び方になります。
問い 4: チーム開発するか、ひとりで開発するか
これも見落とされがちな軸です。
Lovable はリアルタイム共同編集が標準で備わっており、複数人で同じプロジェクトを同時に触れます。デザイナーとエンジニアが横に座って一緒に作るような場面に強いです。
Bolt はプロジェクト単位での共有はできますが、リアルタイム共同編集は 2026 年現在まだ限定的です。順番に触る運用が現実的です。
Rork はひとり開発に最適化されています。生成された Swift プロジェクトを Git で管理して、複数人で触ることはできますが、それは「Rork が共同編集をサポートする」のとは別の話です。
FlutterFlow は有料プランで複数メンバーをプロジェクトに招待できますが、リアルタイム共同編集ではなくロック方式に近いです。
ひとり開発か少人数なら Rork も Bolt も問題ないですが、5 人以上のチームでデザイナーが頻繁に触るなら Lovable が現実的です。
問い 5: 月のコストをどこまで許容できるか
実用上は無視できない軸です。各ツールの料金体系は頻繁に変わりますが、2026 年 4 月時点での感覚的な相場感を共有します。
Rork は使った分だけ消費するクレジット制が基本で、軽い使い方なら月 20〜30 ドル、本格運用で月 100 ドル前後が目安です。私の体感ではコストパフォーマンスは良い方です。
Lovable は月額固定プランが基本で、Pro プランあたりが 25〜30 ドル前後。生成回数の制限がありますが、ウェブアプリの試作レベルなら十分です。
Bolt も似た価格帯ですが、トークン消費が大きい使い方をすると上位プランが必要になります。月 50〜80 ドルで本格的に使えます。
FlutterFlow は無料プランで触れる範囲が広いですが、Firebase 統合や独自ドメインなどの実用機能を使うには月 30〜70 ドルのプランが必要です。
「複数のツールを契約して使い分ける」のがコスト的にきつい場合、自分の作るものに最も近い 1 つを選ぶことになります。私はこの 1 年で結局 Rork と Lovable の 2 つを契約しているので、月 50〜130 ドルの範囲で揺れています。
私の現在の使い分け方針
参考までに、私が現在採用している使い分けを共有します。
iOS アプリ開発はすべて Rork で起こします。コードを自分で持っておきたいこと、SwiftUI のネイティブ体験が必要なこと、最終的に Xcode で仕上げる前提があることが理由です。
ウェブアプリのプロトタイプは Lovable で作ります。デザインの試行錯誤がしやすいこと、Supabase 統合で認証や DB をすぐ繋げることが大きいです。本格的にスケールさせる段階で Next.js プロジェクトとして取り出して、自前で運用します。
Bolt は単発の小さなツールを作るときに使います。「1 ファイルで動くアプリを作って、Vercel に上げて URL で共有したい」みたいな速度重視の場面ですね。
FlutterFlow は最近触っていません。Flutter エコシステムへの強みは認めますが、私の主戦場が iOS ネイティブとウェブなので、出番が少ないというだけです。Flutter 中心で開発しているチームには非常に強い選択肢だと思います。
「迷ったらどれ」を 1 つだけ挙げるなら
5 つの問いに沿って判断するのが本筋ですが、それでも「とにかく 1 つ試したい」という方には、自分の主目的でひとつ挙げるならこうなります。
iOS / Android アプリを作りたい個人開発者なら Rork。手元でビルドして配信するまでの体験が最も直線的です。
ウェブアプリで SaaS のプロトタイプを素早く作りたいなら Lovable。Supabase との統合で、認証付きの動くプロトタイプが半日で立ち上がります。
「何を作るかまだ決まっていないけど、AI でアプリ作る感覚を試したい」なら、Bolt の無料プランから始めるのが摩擦が少ないです。クレジット切れたらじっくり考えれば良い、くらいの軽さで触れます。
選んだあとの運用 Tips
最後に、どのツールを選んだとしても役立つ運用 Tips を 3 つ挙げます。
ひとつは「生成結果は早めに自分の Git にエクスポートする」ことです。AI ツールはサービス自体が変わっていく可能性があるので、自分のコードは自分のリポジトリに置いておく方が安心です。
ふたつめは「プロンプトは履歴を残す」ことです。「以前このプロンプトでうまくいった」を後で再現できるように、効果のあったプロンプトは Notion や GitHub Gist に保存しておきます。プロンプトは資産です。
3 つめは「3 ヶ月ごとに自分の選択を見直す」ことです。これらのツールは進化が早く、半年前に「これはダメ」と判断したツールが、今は驚くほど良くなっていることがあります。年に何度かは試し直す時間を取ると、判断を最新化できます。
ツール選びは目的を達成するための手段です。「どれが流行か」ではなく「自分が何を作りたいか」から逆算して選ぶことを、特にこれから始める方には強くおすすめしたいです。