ゴールデンウィーク、いかがでしたか。
私は今年、珍しく「どこにも行かず、ひたすら作る5日間」にしようと決めました。観光地の混雑を避けたかったというのもあるのですが、正直に言うと、今年前半に感じていた「Rork Maxをまだちゃんと使い切れていない」という引っかかりを、まとまった時間で一度解消したかったというのが本音です。
結果として、5日間でアプリを2本作り、うち1本は TestFlight まで持っていくことができました。成功談のようにも見えますが、道中に何度か「ああ、これはまずいな」と感じた瞬間もあって——その両方を記録しておきます。
最初に決めたこと:テーマを絞る
ゴールデンウィークの失敗パターンとして「あれもこれも試してみよう」という気持ちで時間を溶かす、というのがあります。私自身、数年前にやりました。1週間かけて何も完成しなかった経験。
今回は意識的に「テーマを1つに絞る」ことにしました。選んだのはアートとサウンドを組み合わせた癒し系アプリです。私がもともと音楽やアート活動をしているので、そこを起点にすれば「作りたいもの」が具体的に見えやすいと思ったんです。
アプリの構想はシンプルで、「指で描いた形に合わせてサウンドが変わる」インタラクティブなビジュアルアート体験です。癒し系アプリの市場は既に飽和気味なのは分かっていますが、自分が本当に使いたいものを作る方が、開発中の判断が速くなる——そういう理由で選びました。
Rork Maxでのプロセス:良かったこと
率直に言うと、コンセプトが固まっていれば、Rork Maxの生成速度はかなり速いと感じました。
最初のプロンプトで「指でなぞった軌跡に沿って色と音が変化するインタラクティブキャンバス、React Native + Expo + Skia を使って」と書いたところ、それなりに動くプロトタイプが20分以内に出てきました。react-native-skia の Path と TouchableHighlight を組み合わせた描画部分は、私が自分で書くより整理されていたくらいです。
もう一つ良かったのは、AIへの「追加指示」の粒度が合ってきたと感じたこと。以前は「もっとこうして」という曖昧な指示をしていたのですが、今回は「この色の変化のカーブをイーズアウトで」「サウンドの再生タイミングを指が止まった瞬間ではなく0.1秒後にずらして」のように、具体的な数値と動作で伝えるようにしました。そうするとコードの差分が小さくなり、意図しない破壊的変更が減りました。
詰まった場所:オーディオと描画の同期
一方で、サウンドの再生と描画の同期の部分は手こずりました。
expo-av を使って音を再生しつつ、Skia のアニメーションと同期させようとすると、特定の端末でタイミングがずれる問題が出たんです。Rork Maxに「このズレを直して」と伝えたところ、何度かのやり取りで useRef + requestAnimationFrame を使う構造に書き換えてくれたのですが、Android 実機で確認すると別の問題が発生する、というイタチごっこになりました。
結局、このパートは私自身がコードを読んで原因を特定し、ピンポイントで「ここの startTime の計算を変えて」と指示する必要がありました。AI ビルダーとの協働で感じるのは、「何がおかしいか」を読める人間が入るほど、品質が上がるという感覚です。完全に任せるより、自分がレビュアーとして関わる方が最終的な速度が上がる。
これは良し悪しではなく、今のツールの特性だと思っています。
2本目は「速度」の実験
1本目に1日半かけたあと、2本目は意識的に「速さ優先」で作ることにしました。
選んだのは、日本語のことわざをランダムに表示するシンプルな一日一言アプリです。見た目を丁寧に作ることだけに集中し、機能は最小限にする。プロンプトに「シンプルで高品質なUIを優先、機能は後から足す」と明示したところ、Rork Maxが生成するコードの量が1本目より少なくなり、デバッグが楽でした。
アプリの設計とプロンプトの設計は比例するというのが改めての気づきです。複雑なものを作ろうとすると、プロンプトも複雑になり、生成結果も複雑になり、問題の切り分けも難しくなる。
5日間を終えて感じたこと
ゴールデンウィークが明けて、手元には動くアプリが2本あります。そのうち1本は今週中に App Store 申請予定です。
5日間でこれができたのは、Rork Max のおかげが大きい。一方で、「ツールの性能だけ」ではないとも感じています。何を作るか、どう伝えるか、どこで自分の判断を入れるか——この部分は、道具がどれだけ良くなっても、作る人間が考え続けるしかない部分なんだろうと思います。
今後も Rork Lab では、こういった実際の開発体験をもとにした記事を書いていきます。「理論だけの解説記事」にならないように意識しながら。
来週また何か面白いことがあれば、ここで共有します。読んでいただき、ありがとうございました。